2005年11月11日

アルジェリア戦争の記憶

 フランスの暴動は、ようやく少し沈静化してきたようだ。フランス政府は暴動に対して、半世紀前に制定された緊急事態法を発動した。「同法第5条は『各県当局は布告に定められた場所と時間内で人々と車の往来を禁じることができる』と規定。また内相に『大衆と公共秩序にとって危険な活動をする者への逮捕状発令』を認め、当局者は『公的秩序を乱す(劇場、映画館、バーなど)集会場所の一時的閉鎖』や『家宅捜索』を命じることができると規定している。」(読売新聞)というこの法律は独立戦争下のアルジェリアで適用されていた。民族解放戦線への人権もへったくれもない過酷な弾圧は、映画『アルジェの闘い』に描かれているとおりだ。
 アルジェリア戦争も今回の暴動も、根は同じだ。抑圧されたアラブ人のフランスに対する反乱だ。
 アルジェリア戦争の深刻化にともない軍部と白人植民者の暴走を政府は止められなくなり、軍事クーデターの瀬戸際まで追いつめられ、第四共和制の崩壊をもたらした。ちょうど、中国侵略にのめりこんでいった日本政府が軍部への統制を失っていったのと似ている。今回の暴動も、フランス社会を深く揺さぶるだろう。
 アルジェリアの民族解放戦線が有していた高いモラルとは較べるべくもないが、今回の暴動にも、一定の節度があるように感じられる。これだけ多くの車や建物が放火されているのに、死者はたった1人だ。暴動がエスカレートした中で、統制する指導者などいないにもかかわらず、暴動に参加する若者たちには、「人は殺さない」という最低限の配慮はあるのではないか。彼らは絶望しきっているわけではない。わたしはここに希望を見出したい。
 今回の暴動は、日本にとってもいつまでも対岸の火事ではあり続けないだろう。日本にもすでに少なからぬ外国人労働者が住んでいるし、政府はFTAによるフィリピン人労働者の新たな受け入れを決めた。
 この事態にわたしたち日本の労働者はどう対処すべきか。資本主義体制を打倒しなければ根本的には解決しないが、そんな空念仏を唱えていてもはじまらない。ショボくても現実にできることから始めなければならない。
 アジア人民が移民にならずとも自国で充分な収入を得られるよう、フェアトレードなどを通じて支援する。いっぽうすでに日本で定住している人たちに対しては、少しでも彼らが人間らしい暮らしをおくれるよう、あたりまえの隣人として受け入れる努力をしなければならない。排外主義的な風潮には、声を大にして反論していこうと思う。
 残念ながらあまり冴えた策は思いつかない。そう簡単には解決しない、重い問題だ。

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posted by 労働者L at 20:08| Comment(0) | TrackBack(1) | 国際問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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