2005年09月12日

これは勝利のはじまりだ

 わたしは今回の選挙結果を、まあまあ良かったと思っている。つい自民党の圧勝に目を奪われがちだ。しかし、常々書いているように、わたしは民主党は「自民党の二軍」ないしは「へぼい自民党」であると考えているので、自民党と民主党、さらに公明党も含めた保守勢力全体としてどうだったか、ということを考察しなければならないと思う。
 まず議席数だが、自民党・民主党・公明党および国民新党などの自民造反組を全てあわせると、解散前は426で、選挙後は427だ。ほとんど変わっていない。いっぽう共産党と社民党を合わせた革新勢力は解散前が14で、選挙後が16。これもたった2議席増えただけだが、もともとの数が少ないので2つでも増えたのは大きい。しかも辻元清美と保坂展人がカムバックしたことは心強い。つまり、わたしのみるところ、保守勢力はこの選挙で前進したとは言えない。
 もっとも小選挙区制は民意を歪んだ形でしか反映しないので、得票率も検討しなくてはならない。比例区の得票率を比較すると、保守は前回総選挙も今回も約87%。革新は前回も今回も約13%。得票率を見ても、前回総選挙とほとんど変わらない。
 それだけではない。数字に現れないところで保守勢力の危機は進行していると考える。自民党は刺客を送り込み、コスタリカ方式の秩序を壊すことで自らの支持基盤を引っかきまわし、掘り崩してしまった。これは長期的には保守勢力の弱点となる。もっとも自民党をあなどるべきではなく、これを機に農村部では昔ながらの組織選挙、都市部では無党派層受けするイメージ選挙の両刀を使い分けられる党に進化するかもしれないので警戒すべきだが。
 公明党の退潮も注目に値する。公明党は議席や得票率も減らしたが、わたしが気になるのは別の点だ。1週間前にマスコミがこぞって自民大勝を予測したとき、わたしはこれで公明党は票を自民党から民主党にシフトさせ、自民党の大勝を防ぐだろうと考えていた。いうまでもなく、公明党がキャスティングボートを握り、自らを少しでも高く自民党に売りつけるためだ。ところが結局自民党が圧勝してしまった。投票率が高かったことも公明党に災いしたのだろうが、それ以上に中小企業の倒産や高齢化によって彼らのあの不気味な集票力に陰りが見えつつあるのではないかと考えている。
 さらに重大な危機が保守勢力を襲いつつある。二大政党制の崩壊だ。日本の独占資本家どもは二つの保守政党の出来レース選挙で永続支配をねらうアメリカ型の政治形態を追及してきたが、今回の民主党の大敗でこれが危機に瀕している。自民党政治に反対するためだけに今まで心ならずも民主党に投票していた人たちが革新政党に投票するようになれば素晴らしいことだ。
 もちろん短期的に見れば今回の選挙は大変悪い結果をもたらすだろう。郵政民営化はもう決まったも同然だ。共謀罪や障害者自立支援法案も近いうちに成立してしまうだろう。さらに憲法改悪のための国民投票法案や教育基本法改悪も実現に一歩近づいた。
 しかし、メリットとデメリットを差し引きすれば、長期的には展望は明るいと思う。とりわけ投票率が上がったのはいいことだ。年齢層別の投票率の推移のデータを入手していないので確かなことは言えないが、おそらく若い人の投票率上昇が全体を押し上げているのではないか。本田由紀さんがおっしゃる通り、フリーターやニートの人たちに選挙に行ってほしい。今回は彼らの票が自民党に流れたかもしれないが、選挙に行く習慣をつけた彼らは来るべき勝利の暁には主力部隊に成長しているだろう。

革命的労働者に清き一票を!ここをクリック!人気blogランキングへbanner_02.gif
posted by 労働者L at 21:59| Comment(8) | TrackBack(4) | 政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
労働者Lさんのポジティブなとらえ方、励ましになります。どうも病気のせいもあってネガティブな考え方をしてしまうもので。「ってどこがやねん」などと突っ込まないでくださいね。少し元気が出ました。。
Posted by アッテンボロー at 2005年09月12日 22:40
確かに自民とミニ自民の民主という保守2大政党にならなくてよかったと思う反面、思想、経済等、今後様々な面で日本の分裂が進むであろうことに危惧を覚えます。
Posted by ワンダラー at 2005年09月12日 23:29
L様、こんにちは。いつもBlogを楽しく読ませていただいております。

そうでした、革新勢力も数が増えたのでしたよ。しかも保坂さんと辻元さんが議員会館に戻ってくるとは驚きです。

今から15年以上前、私は都内のフリースクールに通っていて、そこはピースボートや青生舎と交流がありました。特に保坂さんはあの頃よくそのフリースクールに来たり、イベントでも顔を見かけましたから、よく覚えています。懐かしくもあり、馴染みのある顔です。

折角戻ってきたんなら、委員会で内閣質問攻めで4年間がんばってほしいものです。
Posted by たけし(algarve) at 2005年09月12日 23:31
 アッテンボローさん、こんにちは。いやフツー落ち込みますよ、あの選挙結果じゃ。わたしも面白くねーなー、と思ってますよ。でもこれから面白くしていきたいもんですね。

 ワンダラーさん、はじめまして。おっしゃる通りです。「勝ち組・負け組」っていやな言葉です。分裂を修復する社会にしたいものです。

 たけしさん、ご愛読ありがとうございます。辻元氏・保坂氏が暴れまわる国会が楽しみですね。
Posted by 労働者L at 2005年09月13日 19:07
コメントありがとうございます。
ただ、自分が今最も危惧している点は、今回の選挙結果によって引き起こされるであろう実質的平等を守る諸制度の崩壊ではなく、平等な社会の崩壊の後に来る民衆意識の変化です。
日本的な縁故を頼みにする組織選挙でどこまでそのような傾向が出るかは定かではありませんが、小選挙区制の特徴から、騙された民衆の怒りがいずれ新たに出現するであろう極右政党への支持に向かい、一人のカリスマ指導者によって短期間で急速に巨大化するのではないかというのが最大の懸念です。
Posted by ワンダラー at 2005年09月14日 12:05
 ワンダラーさん、こんにちは。説得力のある仮説で、考えると恐ろしいですね。そうならないようにするために何をすればいいのか、もっと勉強しなくてはなりませんね。
Posted by 労働者L at 2005年09月14日 22:56
旗旗さんのブログからこちらへ来ました。

労働者Lさんの見方が現実的でかつ説得力があり、
「左派のポジショニング?はこうありたい」と感じ、とても参考になりました。

また寄せていただきます。
Posted by A.伊助 at 2005年09月15日 00:31
 A.伊助さん、はじめまして。お誉めいただき光栄です。いま起こっている「共産党論争」についても、もしよろしければご意見をお聞かせください。
Posted by 労働者L at 2005年09月15日 22:47
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/6848421
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。

この記事へのトラックバック

衆議院で与党が2/3以上の議席を有するということの意味
Excerpt: 今回の総選挙で、自民党と公明党は327議席を獲得し、衆議院の総議席の2/3以上を確保しました。ここで、Wikipediaの「衆議院の優越」より引用です。衆議院の優越(しゅうぎいんのゆうえつ)とは国会で...
Weblog: 上井草流浪日誌
Tracked: 2005-09-12 22:11

新たなる希望
Excerpt: すべては予測したとおりの展開ではある。とはいうものの、さすがに気が滅入った。かつ
Weblog: 愛と革命のために
Tracked: 2005-09-13 01:30

奴のネタは、尽きかけている
Excerpt:  総選挙の結果は恐ろしいほどの自民党大勝に終わった。広告代理店と結託した愚民化政
Weblog: Passing Strangers
Tracked: 2005-09-13 04:27

小選挙区では「民営化反対」が民意(多数票)
Excerpt:  総選挙が終わりました。結果は、巨大な2...
Weblog: じょんのび Blog
Tracked: 2005-09-16 21:41