2007年02月08日

宇宙飛行士の労働問題

 誘拐未遂:シャトル女性飛行士、恋敵を襲撃 容疑で逮捕−−米フロリダ州(毎日新聞)というニュースを読んで、宇宙飛行士もやっぱ人間なんだなあと考えているうち、そういや宇宙飛行士の労働条件はどうなっているのだろうという疑問が浮かんだ。アメリカの労働法は皆目分からないので日本の場合で考えてみた。以下、ヨタ話なので法的な厳密性は期待せぬように。

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 20××年、(株)宇宙航空研究開発機構(JAXA)は日本初の有人火星探査ロケット「かちぐみ1号」の打ち上げに成功した。
 我が国の宇宙開発は華々しく新たな一歩を踏み出したが、そうした国威発揚策で糊塗しなければならないほど、経済の不振は深刻を極めていた。財政赤字は天文学的数字に膨れ上がり、国債は暴落、ハイパーインフレで紙幣に並ぶゼロの数は増える一方。
 JAXAの台所も火の車で、第一級の国策ゆえ渋々協力したものの、資金の捻出には苦慮していた。ロケットの機体は中国に外注に出したおかげで安く抑えられたが、宇宙飛行士に払う賃金がどうしても工面できそうにない。
 そこで、JAXA人事部は名案をひねりだした。一般企業では出張の移動に費やされる時間は労働時間にカウントされないことが多いことに着目し、今回のミッションを「宇宙飛行士による火星への出張」として扱うことにした。地球から火星まで往復3ヶ月、火星での滞在は1週間を予定しているから、こうすれば宇宙飛行士たちの労働日は1週間分だけになる。もちろん、今どき宇宙飛行士といえども正社員なわけはなく、日割り計算で給料が支給されるバイトにすぎないので、JAXAにとっては人件費のたいへんな節約になるわけだ。
 しかし、いくらなんでもこんな劣悪な条件では宇宙飛行士がやめてしまうかもしれない。打ち上げを前にして急にやめられたら困るので、これらの決定は「かちぐみ1号」が大気圏を離脱してから初めて宇宙飛行士たちに伝えられた。
 無線交信で地球から通告された冷酷な決定に愕然とする乗組員たち。移動中は給料が出ないばかりか、食費すなわち宇宙食も自己負担になるので、差し引きすると完全に赤字だ。「地球に戻ったら貰った給料でスキルアップのために英会話学校に通おうと思ってたのに」、「『アパートの家賃は戻るまでどうか待ってください』と大家さんに頼み込んで出発したのに、これじゃ地球に帰れない」と「かちぐみ1号」の船内ではみな口々に不安をうったえた。

 …それから40日、いよいよ「かちぐみ1号」が火星に接近してきた頃、今度はJAXAの方が驚かされることになった。なんと、乗組員たちが船内で労働組合「かちぐみユニオン」を結成し、1週間の火星滞在期間の全面ストを通告するとともに一人あたり10兆円(2007年の通貨価値に換算すると約2.3億円)の特別手当を要求してきたのだ!
 JAXAは苦しい立場においこまれた。かって我が国が経済大国だった頃は宇宙開発は国営でおこなわれていたらしいが、JAXAはとっくの昔に民営化されているので、彼らのスト権は認めざるをえない。だからといって大枚はたいて送り出した「かちぐみ1号」が探査もせずに手ぶらで帰ってきてしまっては一大事だ。前代未聞の無線による団体交渉がおこなわれ、7兆円の手当支給で妥結。乗組員たちは心安らかに地球に帰還しましたとさ。めでたし、めでたし。

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posted by 労働者L at 20:06| 日記