2005年12月25日

『パッチギ!』を見た

 遅ればせながら、『パッチギ!』を見た。拉致だの核だのかまびすしいご時勢にこういう映画を作り、しかも興行的にも成功させてしまう井筒監督には敬意を表したい。
 けど、ちょっともの足りなかった。だって朝鮮高校の不良たちがちっともワルくないんだもん。たしかに連中はケンカしてばっかだし、公衆電話ぶっこわして金を盗むは、女の子孕ましてバックレようとするわで、いちおうワルのセオリーを踏んでいるわけだけど、そのワルさが全然うしろ暗くない。日本人の不良グループのバカバカしいまでに徹底した上下関係はコミカルに描かれているけど、それに対して朝鮮人のほうはヤンチャやってる連中も彼らの間では上下など微塵もなく、実にすがすがしい友人関係なのである。これってホンマかいな?
 そして不良のイニシエーションを通過した朝高生たちは、立派な社会人に成長してメデタシメデタシというわけ。
 在日朝鮮人は差別に苦しみながらも、互いに助けあって清く正しく生きている。この映画のこういった朝鮮人の描かれ方は、率直に言わせてもらえば、世間一般の朝鮮人差別の裏返しではないか、と思う。
 人間は残念ながら必ずしもそんなに強くない。差別はしばしば被差別者を屈折させる。それがさらに差別の格好の材料になる。差別問題の解決が難しいのはこの悪循環を断ち切れないからだ。
 差別に抗してひたむきに生きる朝鮮人、なんて図式はまるで薄っぺらいプロパガンダ映画のようだ。被差別者を捉える視点の深さにおいては、ヴィスコンティの『若者のすべて』に到底及ばない。

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posted by 労働者L at 20:11| Comment(2) | TrackBack(1) | 人権

2005年12月17日

少子化賛成!

超少子化日本 総人口 今年にも減少(産経新聞)

 少子化がなぜいけないかがサッパリ分からない。世界では人口爆発が進んでいて、増えすぎた人間が地球の資源を食いつぶしてしまいそうだというのに、なぜ日本政府はわざわざ苦労して人口を増やそうというのだろうか?戦争や飢餓などの悲惨な理由によらずに人口減少を実現しつつあることは、何よりもダメなニッポンが世界に誇れる数少ない美点のひとつだ。
 そりゃもちろんわたしだって少子化を手放しで礼賛しているわけじゃない。まずリプロダクティブ・ライツを充分保障していかなければならない。例えば、シングルマザーや障害者などが出産・育児をしにくい現状を改める必要がある。産みたい人は産める、だけど産みすぎないようにするコンセンサスを図る。これが理想だ。
 少子高齢化で生産の担い手が減ったらどうする、という財界筋の心配も決してなおざりには出来ない。だけどこのまま世界で人口爆発を放置しておいたら人類は破滅するしかないわけで、どうしたって人口ピラミッドのアンバランスを覚悟して人口の抑制に踏み切らざるをえない。そうだとすれば、人口減少先進国たるわがニッポンこそが、人口を減らしつついかに経済をソフトランディングさせるか、という貴重な実験に取り組むことができる位置にある。
 何も今のような大量生産・大量消費の環境破壊型経済を維持する必要はない。労働力の減少に応じて生産力を落としつつ、分配を工夫することで環境にやさしくつつましやかで平等な経済をつくる。実現は至難のわざだが、そうでもしなければ人類が生存しつづけることはできないだろう。
 そういう良いお手本を世界に示すほうが、時代錯誤の「産めよ増やせよ」よりよっぽどクールだと思うけどなあ、猪口君。まああんたらには無理だろうけど。

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posted by 労働者L at 20:22| Comment(9) | TrackBack(1) | 政治

2005年12月12日

カナリアの悲鳴はもう聞きたくない

 子どもが犠牲になる痛ましい事件が続発している。それぞれの事件にはそれぞれの背景があるだろうから、安易に大状況から演繹的に論じることは戒めなければならないが、それにしても近年の新自由主義的政策がこうした事件を誘発しているのではなかろうか。
 児童虐待にしてもそうだが、弱肉強食の社会になってしまったせいで、追いつめられた人の不満のはけ口が子どもや老人などの最も弱い者に向かっている。もちろん、いくら差別・抑圧を受けようと弱い者に八つ当たりすることは許されないが、一番悪いのは自分たちの利益しか考えずにそういうギスギスした社会を作っている政府・官僚・資本家の連中だ。
 あたかも炭坑のカナリアのように、子どもたちが自らの命をもってわたしたちの行き先が危険であることを教えてくれている。まったくやりきれない話だ。これ以上犠牲が出る前に、早く道をひき返さなければならない。
 警察力を強化したり、外国人を排斥したりすることでは問題は解決しない。むしろ逆効果だ。
 大人たちが尊厳をもって扱われる労働環境を作ろう。ワークシェアリングをすすめて失業と過労をなくそう。年金・生活保護などのセイフティーネットを張りなおそう。破壊されてしまった地域や職場の共同性を、抑圧的にならない形で再建しよう。大人を追いこまないことこそが子どもを守る道だ。

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posted by 労働者L at 20:36| Comment(0) | TrackBack(5) | 子ども

2005年12月11日

自称野党

 そういえば、

首相、民主に大連立打診 前原代表は即座に拒否(共同通信)

なんてニュースがあったけど、わたしも「美しい日本のわたし」で同じこと書いてたことを思い出した。前原くん、せっかくの純ちゃんの誘いを断るなんてアホだな。プライドさえ捨てて毒まんじゅう食べればラクになれたのに。重要閣僚のポストもゲットできたし、うまくすりゃ安倍を出し抜いて次期首相に!、なんてこともあったかもしれないのになあ。惜しいことをしたもんだ。
 どうやら、民主党が野党だと思っているのは自分たちだけだってことがこれで分かったな。これからは「自称野党」と呼んでしんぜよう。

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posted by 労働者L at 20:18| Comment(0) | TrackBack(1) | 政治

2005年12月10日

もうひとつのストライキ:立命館定点観測

 12月9日は立命館の年末一時金の支給日だった。当局の方針通り1ヶ月分カットされて支給された。
 その9日に立命館大学でふたたびストがおこなわれた。といっても一時金の支給にあわせて教職員組合が第二波ストをかまえたわけではない。今回は一時金問題とは関係ない。ストをおこなったのはゼネラルユニオンという別の組合だ。
 周知の通り、終身雇用の正社員を前提とした日本の労働環境はすでに昔話だ。パート・アルバイトなどの安上がりで首切りもしやすい非正規労働者がいまや全労働者の3分の1を占めている。立命館はさらにススんでいて、なんと教職員の半分が非正規だ。
 一時金問題にとりくんでいる教職員組合は正規の教職員しか組織していないが、正規より待遇が悪い非正規を組織している組合が立命館にもある。そのひとつがゼネラルユニオンだ。ゼネラルユニオンは関西でおもに外国人を組織している個人加盟の労働組合で、立命館大学ではおもに外国人の語学教員が加入している。
 外国人の語学教員の多くは「常勤講師」や「嘱託講師」という身分で雇われている。常勤講師は、常勤と名がつくものの実質4年契約で、嘱託講師は5年契約。いずれも契約更新はできず、年限がきたらクビだ。ゼネラルユニオンはおもにこのことの不当性を訴えてストに起ち上がった。教職員組合の上品な10分ストとは違って、1日ストだ。しかもこれからも波状的にストを打つと宣言している。
 このようなストに至るまでの曲折を、次回以降述べていきたい。そこには、正規の教職員組合を観測していただけでは見えてこない、もうひとつの立命館が浮かびあがってくることだろう。

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posted by 労働者L at 18:25| Comment(2) | TrackBack(0) | 立命館

2005年12月09日

住居の平穏とか無断立入とかについて

 自衛隊の官舎にビラ入れした立川自衛隊監視テント村のメンバーに東京高裁が逆転有罪判決を下した。実にナイスな判決だ。

<立川反戦ビラ訴訟>3被告に逆転有罪判決 東京高裁(毎日新聞)

 東京高検の笠間治雄によると「誰であれ、他人の住居の平穏を侵害するような手段を用いてまで、自説を言いつのる権利などないことは当然である。」そうだが、まったくその通りだ。イラク人民の住居の平穏を侵害しまくり、そのことをもって民主主義をもたらすとか何とか珍説を開陳する権利など誰にもないし、そういう図々しすぎる連中を手助けするために自衛隊をイラクに派遣する権利もない。きのう派遣延長を決めた閣僚連中も起訴しろよ、笠間!
 裁判長の中川武隆は「ビラによる政治的意見の表明が言論の自由により保障されるとしても、投かんのため管理者の意思に反して建造物等に立ち入ってよいということにはならない」と述べたそうだが、至極当然だ。イラク人民の意思に反してイラクに立ち入っている自衛隊にも有罪判決だな。
 笠間も中川も、一度でいいからイラクで「テロリスト」に捕まって首はねてもらって来いって、ホンマに。

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posted by 労働者L at 21:20| Comment(2) | TrackBack(2) | 戦争と平和

2005年12月04日

姉歯秀次を一刻も早く逮捕せよ!

 耐震偽造の問題は次々に広がりを見せている。にもかかわらず、警察の捜査はまことに悠長なものだ。「年内にも関連個所の一斉捜索に乗り出す」とは恐れいる。
 そして何よりも、姉歯秀次がいまだにシャバでぬくぬくとしているのが信じられない。警察は四の五の言ってないで、さっさとヤツを逮捕せよ!
 …などと書くと、「たしかに姉歯はとんでもないかも知れないが、権力に逮捕を要請するたあ、労働者Lもヤキがまわったな」という声が聞こえてきそうだ。
 だが、わたしはまさに姉歯の身の上を案じて、早期逮捕を主張しているのだ。想い起こしてほしい。85年に豊田商事の永野一男会長が押し入った男たちに刺殺された。95年にはオウム真理教の村井秀夫も同様に殺されている。いずれもはっきりしたことは分からないものの、問題の拡大で累が及ぶことを恐れた者による口封じだとも言われている。
 誰もがいま露呈しているのは氷山の一角に過ぎないのではないかと疑っている。失うものが何もなくなった姉歯にペラペラしゃべられると困る者もいるのではないか。
 わたしの考えすぎかもしれないが、どうせ逮捕するのなら、さっさとやったほうがいいのではなかろうか。この問題の全貌を解明するためにも、姉歯を死なせてはならない。

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posted by 労働者L at 10:25| Comment(12) | TrackBack(3) | 日記

2005年12月02日

「ニューズウィーク」に仰天

 今日の立ち読み。「ニューズウィーク」の表紙を見て仰天した。なんと「皇室は本当に必要か」とデカデカと書いてある。残念ながら時間がなくて記事をじっくり読めなかったが、まあ必ずしも天皇制を否定しているわけではないようだ。それでも、「最近の改憲論議で9条ばかり取り上げられるが、1条も検討すべき」といった趣旨のことも書いてあるし、何よりも表紙の強烈なフレーズは他のメインストリームのメディアでは決してありえない大胆さだ。
 周知のとおり「ニューズウィーク」はアメリカ仕掛けのグローバリズムの広告塔で、多国籍資本の機関誌にすぎないが、そのぶん日本特有のタブーには無頓着だ。以前にもオウム真理教の施設の周辺住民の反対運動を「ファシズム」と批判していてびっくりしたことがある。
 日本の言論界は言葉の壁に守られている。女帝の良し悪しは新聞・雑誌で議論されても、天皇制そのものの是非は語られない。オウム真理教は絶対的な悪で、信者の住民票が受理されなくても、信者の子どもが学校から排除されても知ったこっちゃない。西村真悟は地獄に堕ちたが、拉致被害者の聖家族は至高の存在だ。
 こんな国を離れたところから眺めてみるのも悪くない。そのために、日本語しか解さないわたしのような人間にとって「ニューズウィーク」は参考になる。

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posted by 労働者L at 20:46| Comment(2) | TrackBack(2) | 日記