まず議席数だが、自民党・民主党・公明党および国民新党などの自民造反組を全てあわせると、解散前は426で、選挙後は427だ。ほとんど変わっていない。いっぽう共産党と社民党を合わせた革新勢力は解散前が14で、選挙後が16。これもたった2議席増えただけだが、もともとの数が少ないので2つでも増えたのは大きい。しかも辻元清美と保坂展人がカムバックしたことは心強い。つまり、わたしのみるところ、保守勢力はこの選挙で前進したとは言えない。
もっとも小選挙区制は民意を歪んだ形でしか反映しないので、得票率も検討しなくてはならない。比例区の得票率を比較すると、保守は前回総選挙も今回も約87%。革新は前回も今回も約13%。得票率を見ても、前回総選挙とほとんど変わらない。
それだけではない。数字に現れないところで保守勢力の危機は進行していると考える。自民党は刺客を送り込み、コスタリカ方式の秩序を壊すことで自らの支持基盤を引っかきまわし、掘り崩してしまった。これは長期的には保守勢力の弱点となる。もっとも自民党をあなどるべきではなく、これを機に農村部では昔ながらの組織選挙、都市部では無党派層受けするイメージ選挙の両刀を使い分けられる党に進化するかもしれないので警戒すべきだが。
公明党の退潮も注目に値する。公明党は議席や得票率も減らしたが、わたしが気になるのは別の点だ。1週間前にマスコミがこぞって自民大勝を予測したとき、わたしはこれで公明党は票を自民党から民主党にシフトさせ、自民党の大勝を防ぐだろうと考えていた。いうまでもなく、公明党がキャスティングボートを握り、自らを少しでも高く自民党に売りつけるためだ。ところが結局自民党が圧勝してしまった。投票率が高かったことも公明党に災いしたのだろうが、それ以上に中小企業の倒産や高齢化によって彼らのあの不気味な集票力に陰りが見えつつあるのではないかと考えている。
さらに重大な危機が保守勢力を襲いつつある。二大政党制の崩壊だ。日本の独占資本家どもは二つの保守政党の出来レース選挙で永続支配をねらうアメリカ型の政治形態を追及してきたが、今回の民主党の大敗でこれが危機に瀕している。自民党政治に反対するためだけに今まで心ならずも民主党に投票していた人たちが革新政党に投票するようになれば素晴らしいことだ。
もちろん短期的に見れば今回の選挙は大変悪い結果をもたらすだろう。郵政民営化はもう決まったも同然だ。共謀罪や障害者自立支援法案も近いうちに成立してしまうだろう。さらに憲法改悪のための国民投票法案や教育基本法改悪も実現に一歩近づいた。
しかし、メリットとデメリットを差し引きすれば、長期的には展望は明るいと思う。とりわけ投票率が上がったのはいいことだ。年齢層別の投票率の推移のデータを入手していないので確かなことは言えないが、おそらく若い人の投票率上昇が全体を押し上げているのではないか。本田由紀さんがおっしゃる通り、フリーターやニートの人たちに選挙に行ってほしい。今回は彼らの票が自民党に流れたかもしれないが、選挙に行く習慣をつけた彼らは来るべき勝利の暁には主力部隊に成長しているだろう。
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